代表者あいさつ 

有賀八重(あるが やえ)

私が2018年に移り住んできた南牧村は、高齢化率日本一と言われます。日本一の限界集落、消滅自治体とも呼ばれています。

しかし、ここに住んで日常生活を送って思うのは元気な高齢者が多いということです。70歳を過ぎても働いている人も多く、その上少しでも時間があれば畑仕事に精を出しています。移住前の想像を超えてフットワークも軽くアクティブに動かれています。

私は、インド発祥の「笑いヨガ」の講師をしています。2015年にインドへ行って創始者Drカタリアから直接指導を受けティチャーの資格を取得しました。笑いヨガは子供から高齢者まで誰でも出来る健康体操で特に高齢者との相性がよく、高齢者施設や自治会などで注目されています。

南牧村に来て数カ月後、「笑う門には健康来る」をテーマにした健康祭で笑いヨガを実演させてもらいました。その時も、元気な高齢者に多数参加してもらって、予想以上に盛り上げてもらいました。

もっとも、こうしたイベントに出てこられるのも元気な人たちと言えるかもしれません。

高齢化率日本一の側面

健康祭がきっかけで、それ以降、各地区の民生委員さんがまとめ役になってやる「いきいきサロン」にも呼ばれて「笑いヨガ」をするようになりました。ここに来られる人も元気な人が主ではありますが、やはり、高齢化率日本一の側面も感じざるをえません。

子供たちは都会へ出てしまい、高齢者夫婦だけの世帯、高齢者の単身世帯、そして、その方たちが亡くなれば空き家になってしまうという現象です。着実にその状況は進んでいっています。

たしかに先行きを考えると暗くなってしまいますが、それでも元気で生き生きとしていれば、人は寄ってきます。子供も孫も週末ごとに集まってくるかもしれません。

こうしたことが少しでも長く続くように、生き生きと元気で暮らしてもらいたいと「いきいきサロン」で「笑いヨガ」をさせてもらっています。

レクリエーションを考えるのは大変

ところで、サロンを主宰する民生委員の方にお話しを聞くと、「何をやったらいいのかわからない」「いつも同じレクレーションばかりで代わり映えがしない」等の悩みを聞きました。

近隣の病院で行われている認知症オレンジカフェで笑いヨガ講座をした際にも「レクレーションが大変」、「外部の人が来ることによっていつもと違った雰囲気になってよい」という声を聞きました。

介護職の転職の理由にレクレーションが大変で退職する方もいる程、毎回違う内容で行うレクレーションは担当者の負担を大きくしているそうです。

健康寿命を延ばすお手伝い

このような話を聞くにつけ、民生委員や施設の方の苦労がわかるとともに、私にも笑いヨガ以外に何かできないかと考えるようになりました。もっと全面的に関わりたい気持ちが日々強くなっています。幸いにして、私の笑いヨガ仲間も別の資格で活躍していたり、今まで一緒に勉強してきた仲間は各資格のプロとして活躍したりしています。そうした人達の力を借りれば総合的なレクリエーションサービスを提供する第一歩が踏み出せるのではないかと思いつきました。

まずは、簡単なレクリエーションから始めて、皆で出来る レクリエーション 、ストレッチなど体を動かすもの、状況を見ながら、料理、DIY、英会話、スマホやパソコンの操作方法や、メルカリを使った販売まで支援のラインナップをどんどん増やしていくつもりです。

レクレーションに参加するだけで完結するものから、日常生活の張り合いになるような「生きがい」になるものまで幅広く対応できることを目指します。

そうすれば、民生委員や施設の担当者のかゆいところに手が届くサービスになるだけでなく、何よりも高齢者のためになると強く感じています。

健康長寿のための3本柱

たしかに、高齢者レクリエーションといいますと、高齢者が受け身になって、その場限りの何かのサービスを受けるというイメージになってしまいがちですが、私は、もっと広く考えています。日常生活に活かせるもの、主体になってもらうものまでです。それに、たとえば周りの家族の人が笑顔で接してくれるというのも大事なことです。

こうした考えのもと、「高齢者にレクレーション」「高齢者がレクチャー」「介護者などへのレスパイトケア・サポート」をサポートの3本柱にしたいと思っています。

高齢者が「講師となり教える」レクチャー

高齢者レクリエーションは先ほどふれたとおりですが、高齢者レクチャーとは、高齢者が講師になります。高齢者にレクチャーではなくて、高齢者がレクチャーです。

高齢者が自分の持っている様々な知恵や技術、ノウハウをレクチャーする場を作っていきたいと思っています。

高齢者の個人的な楽しみになるだけでなく、地域社会で、伝統の知恵を引き継がせるという役割を担ってもらうことにもつながります。地域ごとにレクチャーの内容が変わってくれば地域性が生まれて面白いものになります。

例えば、南牧村では農業、林業だけでなく、砥石、養蚕、石積みなど地域色の濃い伝統文化があります。そしてその文化は日々失われつつあります。こうした技術の「教える場」を作ることで、技術の継承だけでなく観光のアクティビティになる可能性も考えられます。

高齢者にとって、これほど健康長寿の薬になるものはないかもしれません。

自分だけでなく周りの笑顔が健康長寿の秘訣!

家族や高齢者を支えるみんなが笑顔であること。これも高齢者にとって大事なことです。

介護疲れによる悲しいニュースは度々ニュースになります。

ニュースにならないけれど、ストレスを抱え肉体的にも精神的にもギリギリの状態で介護を続けている方は沢山いらっしゃると思います。そのような時に少しでも身体を休める場所、心が休める場所があったら気持ちの余裕も出てくるのではないでしょうか。

一時的に介護から解放され、リフレッシュする為の支援サービスをレスパイトケアと言います。介護をする方、施設の職員の方など高齢者を支える方々の心と身体を休める場所を作っていきたいと考えています。

今後、他の地域でも南牧化は進む

このような思いでひまわり高齢者レクリエーション支援センターを設立いたしました。

現在、南牧村が高齢化率日本一で最先端をいっていますが、どの地域でも南牧化が進むことは間違いありません。ここを拠点にして形作ったサービスは、必要な地域にも役立ててもらえるようなモデルケースになる可能性を秘めていると感じています。